2024年1月20日 星期六

 【2018年の記事】「明日にでも電通を辞めて…」妻の言葉に決めた早期退職


 元電通マンはいま、新潟の魚沼でおいしいコメのために働いている。こんな働き方があったんだな、と感じながら。


     ◇


 「明日にでも電通を辞めて欲しい」


 妻は医師にきっぱり答えた。夫に何を望むかという問いだった。横に座っていた渡辺泰治さん(58)はびっくりした。


 妻がそんなことを言ったのは初めてだ。2011年12月のことだった。


 当時、電通ソーシャルソリューション局の部長だった渡辺さん。食べ物がのどを通らなくなり、10キロ近く体重が落ちていた。摂食障害だと診断された。


 それでも仕事への意識が張り詰め、異常なくらい高ぶっていた。様子が変だと言われても反論し、認めない。会議に出ているかのような寝言を口にする。妻は夫を心配し、一緒にメンタルクリニックを訪れていた。医師からは、病院に通い、規則正しく食事を取る生活をするよう指示された。


 翌週、上司に告げた。


 「部長からおろしてください」


 出世を望んでいたわけではなかったが、敗北感は否めなかった。思い切って告げたことでほっとする自分もいた。

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