【2018年の記事】「明日にでも電通を辞めて…」妻の言葉に決めた早期退職
元電通マンはいま、新潟の魚沼でおいしいコメのために働いている。こんな働き方があったんだな、と感じながら。
◇
「明日にでも電通を辞めて欲しい」
妻は医師にきっぱり答えた。夫に何を望むかという問いだった。横に座っていた渡辺泰治さん(58)はびっくりした。
妻がそんなことを言ったのは初めてだ。2011年12月のことだった。
当時、電通ソーシャルソリューション局の部長だった渡辺さん。食べ物がのどを通らなくなり、10キロ近く体重が落ちていた。摂食障害だと診断された。
それでも仕事への意識が張り詰め、異常なくらい高ぶっていた。様子が変だと言われても反論し、認めない。会議に出ているかのような寝言を口にする。妻は夫を心配し、一緒にメンタルクリニックを訪れていた。医師からは、病院に通い、規則正しく食事を取る生活をするよう指示された。
翌週、上司に告げた。
「部長からおろしてください」
出世を望んでいたわけではなかったが、敗北感は否めなかった。思い切って告げたことでほっとする自分もいた。
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